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もう”春”が来たのでしょうか。そう人に問いたくなるほど、暖かい日が続いています。
白い梅の花、ピンク色の桃の花など、あちらこちらで目にしますが、春の訪れを知らせる”桜の花”が咲くには、もう少し先、というところでしょうか。

本日は、その昔、福山藩御用絵師であった「藤井松林」先生の作品をご紹介いたします。

【孔雀 牡丹図】絹本著彩 立幅

この掛軸は絹地に極彩色、極細密に描かれています。
これを描いたのはご当地、福山藩お抱えの絵師「藤井松林ふじいしょうりん」です。

「藤井松林」は、江戸時代後期から明治27年まで活躍した備後きっての・・・いいえ、その当時の全ての日本画家中、屈指の絵師でした。明治天皇の皇后様の御前での”御前揮毫”を賜っていますので、まさに当代一流ということでしょう。

この作品【孔雀 牡丹図】は、”孔雀”が岩上にしっかりと足を付けて立ち、あたりを見回している様子でしょうか。右上には、半開の”牡丹の花弁”が細密に描かれていています。そして、左下に目を転ずれば、全開の”牡丹と蕾”があしらってあり、構図としてこれ以上ないほど整っていると思います。

顔料の”青緑・群青”の色がとても綺麗で、たった今描かれたように華やかで、たいへん綺麗です。
旧蔵者がとても大事に、しっかり管理されてきたことが分かります。
このような「藤井松林」先生のすばらしい作品は、まさに地元、福山市の宝物ではないでしょうか。

※なお、題と極め書きは、弟子の「藤井松山」先生が72歳の時書きつけておられます。

古美術 掛け軸 福山