朝晩は涼しくなりましたが、まだまだ厳しい残暑が続きますね。ひどく暑かったり、台風が来たりと、今年の夏は、散々だという方も多いのではないでしょうか。
本格的に涼しくなるまでもう一息、お互い頑張りましょう。
本日は、備前焼に見まがう方も多いのではないでしょうか。丹波焼の花入れをご紹介します。
【 丹波焼 鶴首花入 】 西端 正(にしはた ただし)作 径10.5㎝、高さ20cm
”丹波焼・未晴窯”で焼成された鶴首花入です。
入っている箱の蓋裏には、「重森三玲(しげもり みれい)」氏が書かれた《銘》があります。その《銘》は、~昆崙(崑崙)こんろん~と書付けてあります。
この「崑崙」の意味は、中国の神話の世界まで遡ります。
古代中国の最高神である黄帝、その地上における住居が有る所で、人間がなかなか到達出来ない所のようです。
つまるところ、この作品【 丹波焼 鶴首花入 】は、人々が手の届かないほど、気高く尊い、出来の良いものですよ、という意味になるのでしょうか。
「重森三玲」氏は、岡山県賀陽町生まれの、庭園史家であり、作庭家です。
日本伝統芸術の研究に専念され、特に庭園・茶華道の
史的究明に没頭し、庭園の鑑賞と価値を高めることに努力されました。全国の著名庭園を実測し、多くの著書があります。
昭和時代を代表する作庭家として高く評価された人で、また前衛華道の理解者としても知られた著名人です。
そのように、茶華道に精通されていたところから、丹波で作られたこの花入れに銘を入れたのでしょうか。
この銘~昆崙(崑崙)こんろん~の意味を知り、改めてこの作品を見てみると、どこか凛とした雰囲気のある花入れであるように思います。